2026年9月12日

第1回 子どもの便秘は早めの治療が大切です
侮れない子どもの便秘
便秘は、子どもによくみられる症状のひとつです。そのため、「何日か待てば自然に出るだろう」「一度たくさん出れば大丈夫」と考えられることも少なくありません。
しかし、子どもの便秘は、硬い便を出すときの痛みや出血、腹痛、お腹の張り、食欲低下など、さまざまな症状につながります。排便時の痛みを繰り返すと、子どもが排便そのものを怖がり、意識的に便を我慢するようになることもあります。
子どもの便秘は決して軽く考えてよいものではなく、排便時の痛みや我慢が習慣になる前に、適切に対応することが大切です。
このような症状があれば便秘が隠れているかもしれません
子どもの便秘を考えるときには、排便回数だけでなく、次のような症状がないか確認する必要があります。
• 便が硬くないか
• 排便時に強くいきんだり、泣いたりしていないか
• 排便を嫌がったり、我慢したりしていないか
• 腹痛や腹部の張り、食欲低下がないか
• 少量の便が下着についていないか
このような様子があれば、一度小児科に相談してみて下さい。
子どもの便秘に特有の「悪循環」
子どもの便秘が長引きやすい理由のひとつに、排便時の痛みと便を我慢する行動の悪循環があります。
硬い便を出して痛い思いをすると、子どもは次の排便を避けようとします。足を交差する、つま先立ちになる、身体を硬くする、物陰に隠れるといった行動がみられることもあります。便を我慢すると、直腸に便が長くとどまります。その間に便から水分が失われ、さらに硬くなり、次の排便時には前回よりも強い痛みを感じるようになります。

本来、排便には直腸に便がたまったことを感じ、適切に腹圧をかけながら、骨盤や肛門の筋肉を緩めるという一連の働きが必要です。小さい子どもでは、こうした排便機能や身体の使い方がまだ発達の途中にあります。
一方で、成長とともに「便を我慢する力」は身についていきます。このような排便機能の発達途中に痛みと我慢が加わることが、子どもの便秘を長引かせる一因となります。排便を我慢するのは、子どものわがままや悪い癖ではありません。痛みを避けようとする自然な反応であり、叱ることで改善するものではありません。
便秘治療の大きな流れ
子どもの便秘治療は、大きく二つの段階に分けて考えます。
たまった便に対応する
多量の便がたまっている場合は、まずその便を排出させます。年齢、症状、便の量や硬さなどに応じて、浣腸や内服薬などから適切な方法を選びます。「浣腸でたくさん出たので、もう治療は必要ない」と思われるかもしれません。しかし、たまった便を排出することは治療の出発点です。
痛くない排便を維持する

たまった便に対応した後は、便を軟らかく保ち、再びお腹に多量の便がたまらないようにします。
便秘薬は、単にその日の便を出すためだけに使うものではありません。痛くない排便を維持し、排便を我慢する悪循環を断つことも大切な目的です。
「便秘薬を続けてもよいのでしょうか」と心配される保護者も少なくありません。使用する薬の種類や量、必要な期間は、子どもの年齢や便秘の状態によって異なります。日常の診察などで経過を確認しながら、適切に調整していきます。
子どもの便秘治療において大切なのは、便が一度出たことだけを治療のゴールにせず、子どもが排便を怖がらず、苦痛なく便を出せる状態を目指すことです。
便秘が気になる場合は、「もう少し様子を見よう」と長く我慢させる前に、小児科へご相談ください。
