幼少期の体験がその人の人生に深く関わることがあります。私は2つの大きな体験をしました。一つ目は5歳の時です。東京オリンピックの1964年にはしかにかかりました。夜中に高熱が出ました。当時は今のような小児夜間救急体制はなかったので、母親は私を背負って診療所を転々としたことを子どもながらに覚えています。この記憶は時々フラッシュバックし、同時に母の温もりを思い起こしました。
二つ目は小学校5年生の時です。海水浴で岩場で遊んでいる時に不注意で半分に切断された灯油缶に倒れこんでしまいました。左下肢を灯油缶の切断面でざっくり切ってしまいました。かなりの傷で近くの外科医院で縫合を受けました。この時、おじさんが手術中私の右手をずっと握ってくれました。この握ってもらった手の温もりは痛みを和らげるだけでなく心の安寧を強く感じました。この記憶もフラッシュバックのようによみがえってきます。このふたつの温もりは医者になってからの「こころをよせる小児医療」の基礎になりました。
「こころをよせる」という言葉の意味ですが、寄り添うとは少し異なります。私の理解は心配するに近いと考えます。そして、こころをよせることで患者様そしてご家族様が温もりを感じる。これが私たちが目指す「こころをよせる小児医療」です。
当クリニックは患者様そしてご家族様を思いっきり心配します。そして心に温もりを感じていただくよう精一杯努力いたします。
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