2026年10月10日

第2回 乳児期の便秘
排便回数には個人差があります
赤ちゃんの便が数日出ないと、「便秘ではないか」と心配になる保護者の方は少なくありません。生後しばらくは1日に何度も排便していた赤ちゃんでも、成長とともに排便回数が少なくなることがあります。
排便の間隔が空いていても、出てきた便が軟らかく、排便時に強い苦痛がなく、哺乳量や体重増加が良好であれば、必ずしも便秘とは限りません。反対に、毎日少しずつ便が出ていても、硬い便を出すために強くいきんだり、痛がって泣いたりする場合は、便秘が隠れていることがあります。
そのため、次のような様子がないか確認することが大切です。
・コロコロした硬い便が出る
・便を出すときに肛門が切れて出血する
・お腹が張る
・便がたまると哺乳量が減る、不機嫌になる
乳児期には、腹圧をかけながら骨盤や肛門の筋肉を緩めるという排便時の協調運動が、まだ十分に身についていません。そのため、軟らかい便を出す前に長くいきんだり、泣いたりすることがあります。これは「乳児排便困難」と呼ばれる状態で、成長とともに改善していくことが多いとされています。
ただし、便が硬い場合、排便のたびに強い痛みがある場合、腹部の張りや哺乳低下を伴う場合は、便秘としての対応が必要になることがあります。
ミルクや離乳食の開始で便が変わることがあります
生後1年間は、母乳やミルクから離乳食へと、栄養のとり方が大きく変化する時期です。この変化に伴って、排便回数や便の硬さも変わります。
母乳から粉ミルクへ移行したときや、母乳とミルクの割合が変わったときに、便が以前より硬くなることがあります。ただし、ミルクを作るときは、便を軟らかくしようとして自己判断で薄めたり、反対に濃くしたりせず、製品に記載された方法で調乳することが大切です。

離乳食が始まると、食事量や水分量、食材の内容が変化するため、便の回数が減ったり、硬くなったりすることがあります。
食事内容を工夫することは大切ですが、すでに硬い便がたまっている場合や、排便時に強い痛みがある場合は、食事や水分だけでは改善しないことがあります。食事を何度も変更して様子を見るよりも、早めに小児科へ相談してください。
超音波検査を用いた診療
乳児期の便秘を診察するときには、現在の排便回数だけでなく、出生後からの経過を確認します。具体的には胎便がいつ出たか、便秘が始まった時期、便の硬さ、排便時の痛み、母乳やミルクの量、離乳食の内容、お腹の張りや嘔吐の有無、体重の増え方などを確認します。

診察では、お腹の張りや便のたまり方をみます。必要に応じて、肛門の位置や形、おしりの皮膚の状態なども確認します。
また、近年では腹部超音波検査を用いるようになってきています。超音波検査では、大腸に便がたまっているか、直腸がどの程度広がっているかなどを確認します。放射線被ばくがなく、乳児にも繰り返し行いやすいことが特徴です。
ただし、超音波検査だけで便秘の原因をすべて診断できるわけではなく、これまでの経過や身体診察などと組み合わせて総合的に判断します。
ごくまれに基礎疾患が隠れていることがあります
乳児期の便秘の多くは、明らかな基礎疾患のない機能性便秘です。一方で、ごくまれに、生まれつきの腸や肛門の形態異常、脊髄の病変などが便秘の原因となっていることがあります。
特に、出生直後から便が出にくかった、お腹の張りが強い、体重が十分に増えない、肛門の位置や形に異常がある、排尿にも問題があるといった場合には注意が必要です。
また、一般的な便秘治療を行っても改善しにくい場合にも、基礎疾患が隠れていないか改めて確認します。必要があれば、小児外科などの専門医療機関へ紹介します。
乳児期の便秘は、排便間隔が空いているという理由だけで心配しすぎる必要はありません。しかし、硬い便や排便時の苦痛、腹部の張り、哺乳低下などがみられる場合は、「もう少し待てば出るだろう」と長く様子を見ず、小児科へご相談ください。
